ミュージック・アドヴァイザー:野平一郎
ミュージック・アドヴァイザー
野平一郎のだいら いちろう
東京藝術大学附属音楽高等学校、同大学、大学院修士課程を経て、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に学ぶ。この間作曲を永冨正之、矢代秋雄、間宮芳生、ベッツイー・ジョラス、セルジュ・ニグ、ピアノ及びピアノ伴奏法を村井貞子、堀江孝子、高良芳枝、アンリエット・ピュイグ=ロジェ、ジャン・ケルネルの各氏に師事。卒業後は、ダルムシュタット、シエナ、エクサン・プロヴァンスの各講習会で学ぶとともに、イティネレールやIRCAMに於いて電子音響音楽やコンピュータ音楽を学ぶ。
 作曲家としては、すでに80曲以上のオーケストラ、アンサンブル、オペラ、声楽、邦楽、電子音響作品など多岐のジャンルにわたる作品がある。4曲のフランス文化庁委嘱作品をはじめ、スペインCDMC、IRCAM、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、ベルリン・ドイツ交響楽団、Music from Japan(ニューヨーク)、日本フィルハーモニー交響楽団、サントリー音楽財団、国立劇場他からの数多くの委嘱作品がある。近年では、2002年ロック界の鬼才スティーヴ・ヴァイが初演したエレキギター協奏曲「炎の弦」、2004年ニューヨークのミュージック・フロム・ジャパン音楽祭で初演された「冬の四重奏曲」などを作曲。2002年にベルリン芸術週間でベルリン・ドイツ交響楽団によって初演されたバッハ「フーガの技法」編作は、その後シカゴ交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、アンサンブル・アンテルコンタンポランによっても演奏された。さらに2005年には、オペラ「マドルガーダ」がシュレスヴィッヒ・ホルシュタイン音楽祭でケント・ナガノの指揮により、2006年には、日本フィルシリーズ第40作「トリプティーク」、チェロと管弦楽のための「響きの連鎖」、アンサンブル・ウィーン・コラージュのための「響きの連鎖IIなどが初演され、いずれも好評を博す。2007年には、ロサンゼルスのMonday Evening Concertsシリーズに指揮者、作曲家、ピアニストとして出演。また同年ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院の夏期講習会中レジデンス・コンポーザーとして招かれた。2010年フィンランドのSammer sound 音楽祭に作曲家、ピアニストとして参加。2012年にはサクソフォンとリアルタイム・コンピュータのための「息の道」をIRCAMで作曲し、パリのマニフェスト音楽祭で初演される。なお主要作品は、アンリ・ルモワンヌ社(パリ)から出版されている。

 ピアニストとしては、1982年から90年までパリで、アンサンブル・イティネレールのピアノ奏者をつとめた。ソリストとしてもこれまで、フランス国営放送フィルハーモニックをはじめ、数多くの内外のオーケストラと共演。また国内外の名手と数多く共演し、室内楽奏者、伴奏者としても活躍。古典から現代までの幅広いレパートリーを得意としている。フィリップ・マヌリの「プルトン」、「東京のパッサカリア」、ジョージ・ベンジャミン「アンタラ」、また間宮芳生「ピアノ協奏曲第4番」をはじめとする多くの日本の作品を世界初演、またジョルジュ・リゲティ「ピアノ協奏曲」をはじめ、新しい世代のヨーロッパの作曲家たちの多くの作品を日本初演するなど現代作品の演奏に積極的に携わる。現在までに90枚以上のCDをナミ・レコード、ミュージック・スケープなどからリリースし、その中には武満徹、湯浅譲二の全ピアノ作品集や、ベートーヴェン、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集などがある。また近年は指揮者としての活動も増加している。
 武井賞(1990)、第13回中島健蔵音楽賞(1995)、第44回尾高賞、芸術選奨文部大臣新人賞、第11回京都音楽賞実践部門賞(1996)、第35回サントリー音楽賞(2004)、第55回芸術選奨文部大臣賞(2005) 、第61回尾高賞(2013)を受賞。また2012年には紫綬褒章を受章。 現在東京藝術大学作曲科教授。また静岡音楽館AOI芸術監督、日本フォーレ協会会長をつとめる。
2016年6月よりオーケストラ・ニッポニカのミュージック・アドヴァイザーに就任。
主要作品:
7楽器のための「錯乱のテクスチュアI(1982)
フルートとピアノのための「夜は白と黒で」(1988)
金管と打楽器のための「織られた時」(1990)
ピアノと8弦楽器、リアルタイム・コンピュータのための「挑戦への14の逸脱」(1991)
ピアノとリアルタイム・コンピュータのための「挑戦への9の逸脱」(1993)
オーケストラのための「室内協奏曲第1番(1995) 
雅楽「内なる旅」(1996)
エレキギターと管弦楽のための「炎の弦」(2002)
ピアノとコンピュータのための「Ludwig van sampling!(2003)
冬の四重奏曲(2004)
オペラ「マドルガーダ」(2004-05)
オーケストラのための「トリプティーク」(2006)
チェロと管弦楽のための「響きの連鎖」(2006)
混声合唱のための「フランスの7つの詩」(2009-10)
サクソフォンと電子音響のための「息の道」(2012)
ハープとアンサンブルのための「彼方、そして傍らに」(2012)